ホイアン[会安]の印象

      会安 [ホイアン]
南北弓なりに細長くのびた国土の
片側すべてが海に面しているベトナム
二期作 三期作の 青く広々とした田んぼで
水牛を曳く菅笠姿の村人たちの面ざしは
どこか古い日本の風景を思い出させる
朱印船のころ日本人町があった
古い港町 ホイアン
東南アジアでさかんに交易していた日本商人の
各地で造った日本人町は すべて破壊されたが
ここだけは 痕跡が残された
日本人の手になるという屋根のついた日本橋
後に改修されて来遠橋と名づけられたが
たずさわった日本人名はちゃんと刻まれていて
「来遠」の由来は「朋あり遠方より来る
また楽しからずや」の『論語』からきたもの
ホイアン[会安] という地名の響きは
やさしく やわらかで
勝手に語釈すれば 訪れた人を
ゆったりと受け入れ 安心させてくれる
この町のふところの深さを
なんと うまく表したものではないか
今ここは 世界遺産となり
たくさんの人々が集りつどい
古い時間を巡りながら
セピア色の土ぼこりを巻きあげている
日本人の墓も守られているが
大戦中に日本軍が中国人を殺戮した
記念碑もまたあって
ゆっくりと 時は流れていく        

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