風邪をひいてしまったがマスクをして、恒例となった「第九」を、上野の東京文化会館に聴きに行った。
東京コール・フリーデ第30回記念演奏会で、30回ということから、パンフレッドにはその歩みが振り返られている。それをここに、ほんの少しだけ紹介します。
この合唱団は東京都の職員たちによるものだが、そのきっかけは、パブロ・カザルスが国連総会の場で、ステージから呼びかけた言葉
「平和のへの祈りとして、ベートーベン(第九)終楽章をオーケストラと合唱団を持つすべての都市が、 同じ日に演奏しようではありませんか。これが実現する日が,世界から戦争がなくなる日だから」
というメッセージを、昭和33年、ラジオで聴いた音楽愛好家が都庁に居たことからドラマが始まったという。
その頃職員の都と区の分断が行われ、クラブ活動も両者に分けられることになったが、このとき前述したカザルスの言葉に感動した人(石葉鴻)が、この「第九」を都と区の職員が一緒になって歌いましょうと呼びかけたことから始まったようである。それを最初は労働組合が後押ししたり指揮者渡辺暁雄氏の肩入れやらを受けながらも自主的に全員で力をあわせ、練習場や時間、資金繰りにも苦労しつつ、次第に成長していく。そして団員も固定したものではなく、ちょうど木々が葉を落とし新しい葉や枝を加えつつ伸びていくように育っていったようである。
共演オーケストラも日本フイル、群馬交響楽団、、東京ユニバァーサルフイルなどと組み、今回は東京シティ・フイルハーモニック管弦楽団であった。そして最近は第九のソロを歌うプロのソリストによる「オペラ・アリア」が加わるようになり、それが次第に年末の風物行事としても定着してきたようである。
そこで今回は、第一部は、ビゼーの歌劇「カルメン」から序曲<闘牛士の歌>(バリトン:成田博之) <花の歌>(テノール:福井敬) 間奏曲<何が出たって怖くない>(ソプラノ:塩田美奈子) <恋は野の鳥>ハバネラ(メゾ・ソプラノ:秋葉京子)であった。
合唱指導も今は3代目、前回も書いたと思いますが伊佐地邦治氏で19年目という。忙しい中での熱心な指導で、減少しつつあった団員も今回は200人を越えたようである。メンバーも高校生からかなり年配の人までと幅広いそうだが、少ない練習時間を効率的に集中してプロに対応できるまでに歌いこまねばならず、それぞれ今日は記念すべき晴れの日になるにちがいない。その熱意が伝わってくる。
名称も「都区職員第九を歌う会」であったのを、今の名前に変えたのは4回公演後で、「東京コール・フリーデ」とはドイツ語でコール(合唱)、フリーデ(平和)を意味する。
そして終演後の舞台上の解団式(毎年結団式と解団式をやるようである)で、伊佐治氏の今こそこの第九の精神、平和と平等と人類愛を・・・の願いが切実な時であり、これを歌い上げ若者たちにも訴え伝えたい、というスピーチに頷きながら、来年もこれを平和の中でこれを聴きに来られるようにと願いつつ帰途についた。
紅葉は少し遅れていて、銀杏が今盛んに金色の落ち葉を散らしていた。
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