「ashes and snow」展が終わりに近づいていると言われ、駆け込みの感じで出かけた。どうしても見たかったからである。その後コンサートに出かける日となっていたので、連チャンとなった。
お台場に設えられたコンテナを積み上げて造られたような巨きな会場の内部は薄暗く、内部には砂一粒さえも浮き上がって見えるような臨場感のある、しかしセピア色のスクリーン状の写真パネル群、その元となった動きのある映像が、3箇所に映し出されており、全体に流れる宇宙的な音楽によって、しばし見るものは神秘的な世界に漂わせられる。
地球上で一番大きなゾウ、クジラをはじめヒョウやタカ、その他マナティ、チーター、もっと小さな動物・鳥たち、それらとニンゲンとの共生というより、静かに寄りそい、時には共に踊り、愛撫するほどに接しあい、またはクールに存在しあい、そして祈り、瞑想する、奇跡的な調和の世界が繰り広げられているのであった。すべて合成写真ではなく、そのままの写真・撮影である。どうしてこれが可能であったかということの方が奇跡のように思える。15年かかったというのも当然だろう。
それにしてもこのようにニンゲンに優しく、静かな動物たちを実際触ってみたいものだなあ・・・
この世界を要約したようなメッセージを次に掲げてみます。
この世のはじめには、大空いっぱいに空飛ぶゾウがいた。重い体を翼で支えきれず、木のあいだから墜落しては、ほかの動物たちをあわてふためかせることもあった。
灰色の空飛ぶゾウたちは皆、ガンジス川のみなもとに移り住んだ。そして、翼を捨てて地上で暮すことにした。ゾウたちが翼を脱ぐと、無数の翼は地上に落ち、雪がその上をおおってヒマラヤ山脈が生まれた。
青いゾウは海に降り、翼はヒレになった。ゾウたちはクジラになったのだ、大海原に棲む鼻のないゾウに。その親戚にあたるのがマナティ、川に棲む鼻のないゾウだ。
カメレオンゾウは、翼を捨てなかったが、もう地上には降り立たないことにした。眠るときには、カメレオンゾウたちはいつも空のおなじ場所で横になって、片目を開けて夢を見る。
夜空に見える星は、眠っているゾウたちの瞬きをしない目。ぼくたちのことをできるだけ見守ってやろうと、片目を開けて眠っているゾウたちの。
これを読んだ時ふっと、これはまさに水野るり子さんの詩の世界だなあ、そこに通じているなあ・・・と思ったものでしたが、いかがでしょうか?
そこから帰って一休みして、コンサートに行きました。安くて割引のある席でしたが。
ベルリン交響楽団。 シューベルト:「未完成」 ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 同じく:交響曲第5番「運命」。 指揮者は、テル・アヴィヴ生まれのオール・シャンバダールという、ちょっとビール腹(今ではメタボが心配ではないだろうかと思ってしまう)の貫禄ある人、ピアノはタシケント生まれのエフゲニァ・ルビノヴァという「恐るべきパワーと想像力を持っている」と評判になったという国際コンクール2位の美しい女性。アンコールも全部で4曲もサーヴィス。
その日、私の方がメタボリック症候群になりそうなご馳走ずくめの一日で、楽しかったですがほとほと疲れました。贅沢ですね。
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