「パタゴニア」社について

最近、新聞が大きく様変わりしたように感じられる。ニュース性や物事の真実に迫ろうとする真摯さや意気込みが薄れ、情報の多彩さや読み物的なものが多くなり、読者の関心には敏感で、その参加やサービスにあれこれ努める姿勢になった気がする。もちろんこれはインターネットなどの急速な発展で、新聞も生き残り作戦で大変なのだと思うけれど、情報があふれる割には私にとっては読みたい部分が少なくなり、資源ごみばかりをやたら増やしている有様である。
その読み物的な附録版の「be」のBusiness版(土)の一面は、創業者や起業家が紹介されていて、関心のない私は大抵素通りしてしまうのだが、この日(’07,6.9 朝日)は「おや?」と思った。
パタゴニア創業者、イヴォン・シュイナード(68歳)さんが、サーフィンしている姿が出ていた。
「パタゴニア社」
この会社について、私は’07,9,23のブログ「ハンノキのコンサート(2)」に書いているので、関心のある方は見てくださってもいいのですが、これは古いお寺のお堂という自然に囲まれた中で開かれるコンサートであるが、この日は自然保護、地球の環境を考えるをテーマにした体験談や講演も行われたときで、そこでこの社の話を、初めて聞いたからである。
今日、地球の環境破壊の元凶は、近代化でありそのための経済活動であるが、私たちはそのなかに現実として生きているのであり、それを止めるわけにはいかない。(消費もその一端を担う大きな経済活動)そして経済活動自体が、つねに成長と効率と利益を上げねばならないという宿命を持っているともいえる。しかしその観念を大きく変えて、しかも会社として存続し続けているこの社は、これからの産業や経営の在りかたを示唆していると思え、とても関心を覚えたのだった。
その社の在りかたは、新聞を読んでくだされば分りますが、ちょっと簡単に紹介だけしておきます。
先ずその企業理念は、「私たちの地球を守る事を優先する」ということで、そのため「成長のための成長、利益のために利益は追わない」、「最高の製品を作り、環境に与える悪影響を最小限に抑える」、「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」というのである。実際の売り上げの1パーセントは自主的な「地球税」として寄付し、またクラフトマンシップ(職人気質)を追究し、個人的な利益も多く地球環境保護のために醵出しているようである。
もちろん社員も理念に沿った生き方をさせ、フレックスタイムであり、品質の高さと自主性による責任感、協調性で効率を上げるというやり方で、「ハンノキのコンサート」で話したのも、その日本社員であった。
最初この社の名前を聞いた時、会社の名前だとは思わず混乱したのだが、確かに南米のこの地方に起こった、大きな自然環境危機に直面した事から、この会社〈この地域を自然公園にしようというプロジェクトから発する〉の名前も付けられたようである。
社長は昔はクライマー、ヨセミテ渓谷の大岩壁にルートを切り開いた一人で、自ら磨きだしたハーケンを売り出すことからビジネスを始めたようだが、(その後それが岩を傷つけることを悟ってその製造をやめる)、新聞の画面でサーフインをしていることからも分るように、アウトドアスポーツ用品製造・販売などのようである。
私はそういうスポーツはダメだけれど、こういう企業が増えることを願います。
社長の言葉、「地球の将来について私はとても悲観的ですが、何もしないことが一番の悪です。私には、会社というパワーがあります。私にできる最善のことは、この会社を世界を変えるツール(道具)として使うことです」。
ブログにも書いたが、この社について知りたいと思っていたそれが果たせた。こういうことがあるので、やはり新聞を読むのはやめられない。

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