今日は「台峯歩きの日」でした。
素晴らしい冬晴れでしたが、朝は氷が張りそうな冷え込みとなりました。
今日の目玉は、池でカワセミを目撃した事と、蛙の卵(アカガエルとガマガエル)が湿地の水溜りに大量に生みつけられているのを見たことです。赤蛙のは直径1〜2センチぐらいのビニールの管のようなものがニョロニョロ、蝦蟇のほうは紫陽花のように丸いぬるっとしたコンニャクのような塊。ちょっと気持が悪い。
ここから先は長いので多分誰も読まないと思いますので、独り言に近いものです。
草木の芽吹きも例年より10日ほど早いそうですが、まだ木々はほとんどが眠ったまま、ただイヌシデの梢だけが芽を(キブシに似た小さな房)だして、遠くからだと煙ったように見えていました。
そんな状態ですから、この時期は芽や葉を出し始めた道端の小さな草たちをゆっくり観察しながら歩いていこうというのです。すなわちここに春が先ず来るからです。樹木も低いこの方が先に芽を出し、高い樹のほうが遅い事が多い、そうでなければ高い樹によって日差しが遮られてしまう、低木が生長できない。自然にはそんな配慮の規則性が働いているのだそうです。というわけでそれより低い草たちのほうがいち早く春を知らせるというわけになります。
でも草も背が高くなり花でも咲けばその名が分るのですが、まだ葉がやっと出たばかりだとほとんどが分りません。タンポポぐらいは分るけれど。その見分け方などを教えられながら歩いていきました。
空気が澄んでいるので真っ白い富士や箱根連山がくっきりと眺められる、それにしばらく見とれてから台峯にはいりました。
今日学んだ事は、名前を教えられてもなかなか覚えられず、また覚えたつもりでも直ぐ忘れるという声に、名前を覚えようとするからダメなのだというのです。名前などを覚えなくてもいい、ただ触って良く眺め他との違いを知る事だとのこと。たしかに図鑑を見ても花は別にしても実際の草木はなかなか判別できません。それはただ眼だけ、頭で見て覚えるからでしょう。もちろんそれも一つの区別ですが、実物を手にとって触ったり葉の裏側や棘や葉脈、また手触りや匂いなど、五感でその植物を感じることだ大切なのだというのです。そしてたとえば今小さな朱色の花を咲かせているウグイスカグラの葉を触らせられ、それが柔らかくしっとりした手触りである事を教えられました。
歩くうち、皆似たような雑草に見えていたもの一つ一つが、それぞれ幼い芽吹きである事、その幼い命が識別出来れば何がそこに有効であるか、またそこの環境がどう変化してきたかが分るということ。ですからただ雑草といえどもみだりに抜き取れない事が分りました。(でもほとんど忘れるでしょうが)
これを聞きながら私は昨日の「水橋晋さんを偲ぶ会」のことを思い浮かべていました。その会はとてもいい会で、改めて水橋さんの詩集、詩業の素晴らしさと未来性、その天才的な才能と予見性、詩にたいする厳しさと真剣さ、それを包み込んでいる優しさと包容力、飄々とした人柄などを再認識させられたことを後で水野さんとも話したりしたのですが、その時に奥様が漏らされたエピソードを思い出したのでした。
それほど広くはない庭なのに植木はもちろん雑草までもみだりに抜いてはいけないと言われて、奥さんが苦労したという話。留守中つい雑草を抜くと、せっかく芽を出してきたそれを楽しみにしていたのを抜いてしまったと叱られた事など。しかし道路や近所の手前、またあまりに伸びすぎるため切らざるをえないものは留守中に切っていた。それで奥さんが庭木を切っている時は水橋さんは留守だということが近所の人にはわかるようになってしまったとか・・・・
ああ、自然豊かな富山出身で、とうの昔からエコロジストであった水橋さんは、草木に対して(地球に住む魚や鳥や獣たち全体に)、そんな風に向かい合っていたのだろうと思ったのでした。あまりに素晴らしいお天気の時は会社をずる休みして海にもぐりにも行っていたという水橋さんは、まさに全身でそれらに向かい合っていたのであり、それであのように地球規模の官能的な詩が(水野さんが、それらの詩を読んで酩酊感を覚えたと言われたのはこれではないだろうか?)書けたのではないかと思ったのでした。
思わず横道にそれてしまいましたが、今日はこれまで。
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