「二コラ・ベネデッティ ヴァイオリン・リサイタル」

毎日雨か曇りの日がつづきます。すっきりとした秋空はどこへ行ってしまったのでしょう。そんなときは心が晴れ晴れする音楽でも聴くのが一番でしょうか。
先の日曜日、予報より早く雨になってしまった中を、すこしばかり痛めた足を引きずりながら、近くで開かれるヴァイオリン・リサイタルに出かけてきました。
1987年生まれというからまだ若い、スコットランド生まれの女性。イギリス国内だけでなく国際的に目覚しい活躍をしているという新星。その美しさにも魅かれて切符を買ってしまった。共演のピアニストも美しかった。やはり美しいというのは得だなあ。
しかし入りの方は、まあまあではあるが満席と言うわけではなかった。
演目は
ブラームス:「F.A.Eソナタ」より スケルッツオ
ブラームス;ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 作品78「雨の歌」
          休憩
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ
サン=サーンス:ハヴァネラ
ラヴェル:ツィガーヌ
サガンの小説に「ブラームスはお好き」というのがあるが、純文学の重厚で長い小説を読むような感じがして私には少しばかり重たい。しかしヴァイオリニストの鋭い感性やテクニックが良く感じられるものらしく、休憩時に入ってくる会話にそういう声を聞いた。
ラヴェルのソナタは、第一楽章 アレグレットは、伝統にとらわれない自由の構造、第二楽章のブルース、モデラートは、ジャズの手法を採り入れたもの、第3楽章は、技巧的で華麗な旋律と解説にあるように、現代的感覚のみなぎる技巧も華やかな曲で、すっかり魅了された。
ハヴァネラも、キューバの民族音楽であり、耳に馴染みがあり、これはサン=サーンスがキューバ出身のヴァイオリニストに捧げたものであるという。これも情熱的で技巧的で、それを細い身体で弾きこなす姿とその力量には惹きつけられる。
最後の曲も、「演奏会用狂詩曲」という副題があるようで、これもジプシー音楽の要素を持つもの。ハンガリーの民族舞曲の形式の緩急二つの構成からなるという、これもひどく技巧的で華麗で、ブラヴォーの声もひときわ高くなった。
拍手は鳴り止まず、アンコールも2曲をサービス。一つは、多分タイスの瞑想曲だと思うが、次のは分らなかった。掲示の紙を見るのを忘れてしまったのである。

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