立冬の鶯

7日の昨日は暦の上では立冬だが、気温が高く9月下旬の陽気になった。
この時期、朝夕の寒暖の差が大きいのは例年の通りだが、やはりその揺れがいっそうひどくなったような気がする。
これは昨日の話しである。
前の日、やはり日中暖かかったが、寒気が入ったのか夜になって雨が降った。そして7日の昨日、庭に出ると鶯の、舌打ちをするような笹鳴きが聞こえると思っていると、鶯の声が聞こえた。二声、短いとっさの鳴き声であったが確かに聴いた。実は少し前のことだが、やはり鶯の声を聞いたのであった。こんな季節になって、しかもこんな間近に鶯がいるなんて!と嬉しさよりも不安を感じた。とっくに里から山に帰っているはずであった。帰りそびれたのか、お山の縄張りからはじき出されてしまったのか。愛しくなって、しきりにその姿を探したが、もちろん見つけることは出来なかった。
不等辺三角形の狭い庭であるが、大きな石があって、その上に鳥の水場を作っている。餌は、この辺では害獣にされてしまったリスを寄せることになるので、出していない。鳥たちが水浴びに来るのを見ているだけでも飽きずに一日が経ってしまう。そんなわけには行かないので、毎朝水がほとんどなくなっているのを見て、多く想像するのである。シジュカラ、メジロがやってくる。
この日もお天気が良く、予報も太陽印だけだったのに、午後から急に雲が湧き出てにわか雨が降った。そんな雨の庭を眺めていると、ドウダンの垣根に3羽のシジュウカラがいた。雨宿りしているのかしら・・・と見ていると、どうも水場を目指している様子、雨が降っているのになぜ? 天然のシャワーである雨が降っているのにと思っていると、本当に一羽が水をたたえた鉢のそばにやってきて、身を浸したのである。羽をぶるぶると羽ばたかせて、気持ちよさそうに水浴びをした。
日本人がシャワーだけでは満足せず、湯船にたっぷりと浸りたいように、鳥もそういう気持ちになるのかしらと、微笑みながらそれを眺めていたのだった。
8日の今日、鶯は鳴かなかった。お山にちゃんと帰ったのだろうか。

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