北窓より(1)

この小家には北側に大きな窓があります。丘の中腹にあるので眺めはいいのです。
この眺望に魅かれて、ここに案内された時に即決したのでした。生活の便不便とかその他、ほとんど考えませんでした。あとで分ったことですが(何とかの後知恵といいますが)北斜面というのは、地所が広ければ問題ありませんが、狭いと南側に隣家が迫ると、日当たりがいっそう悪くなるわけで、だから南側にある庭も日陰がちになるわけでした。冬になるとそれがいっそう身にしみます。眺めがいいだけに暖かそうな眼下の家々を眺めながら、恨めしく暖房を早くから入れているわけです。
「日の当たる坂道」でしたかしら、日の当たる裕福な階級を羨望する、日陰に住む貧しい人たち。日当たり、太陽の恵み、に対する人類の本能的な憧れがあるのでしょうね。
でも日陰の花の言葉があるように、日陰の方が育つ花があります。陽が少なくても育つように花自身が自分を変えていったのだと言うことです。水のない砂漠にもそれに適応した植物があると同様に。そしてそれぞれに趣のある花を咲かせます。これら花々を見習わなければなりません。
人類は戦争ばかりやっています。日本もこれから巻き込まれるかもしれません。そのようにして人類は滅び、しかし植物の方は生き残るでしょう。
実はこういうことを書くつもりではなく、北窓からの眺望について先ずお知らせしようと思っていたのでした。それはこの次にしましょう。

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