四行詩「宇宙」七篇 仲嶺眞武
1 木や石を見ていて
木を見ていて 石を見ていて、思う
木や石は宇宙の分泌物であるに違いない、と
そして、思う
私もまた、宇宙胎内の一粒子であるのだろう、と
2 存在と時間
存在とは、時間というカンバスの上に描かれた絵である、と君は言うが
存在は絵だろうか? 時間はカンバスだろうか?
存在と時間は、人間の意識によって構成された現象ではないだろう
存在は宇宙が生み出した万物であり、時間は宇宙の心臓の鼓動であろう
3 少年、発情す
性欲が高進し、少年の私は発情する
脳髄が全部、性感帯となっている
ああ、少年の私を悩ますこの性欲は、どこから起こってくるものなのか?
宇宙よ、あなたの生理によるものだろうか? わが存在の母よ
4 宇宙の前で跪く
人間の足は何のためにあるのか?
それは、地球上を二足歩行するためのものであろう
だが、それだけのことだろうか?
人間の足、それは、宇宙の前に跪くためのものであるだろう
5 宇宙の中の人間の言葉
至聖至高の存在として彼は語る
彼の言葉を聞け、と君は言うが
彼の言葉は小さい
宇宙の中の、人間の言葉は、小さい
6 立ち枯れても
立ち枯れ、という言葉が、思い浮かんできた
地上で立ち枯れている自分の姿を想像する
老耄、既に、立ち枯れの状態である
だが、私と宇宙との対話は、まだ続いているのだ
7 棺は宇宙に抱かれている
私は死んで、棺の中に納められた
棺の中で仰向けに横たわり、目を閉じていると
棺は宇宙に抱かれている、と感じた
棺の中のわたしの魂は天には昇らず、宇宙の奥へと運ばれて行くのだ、と思った
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