Amazing Planet kの正体 若狭麻都佳
ばら
ばら…
の
秩序だった
白い混沌
まぶしい
底が
抜けた
時間
人々は楽しげに狂っている
魚たちが
燃え立つように 青く走り
ちりばめられた丘のうえ
荘厳な声が吹き抜ける
絞首台に吊られてゆく
シャーマンの
こなごなになった
いのちの破片を拾い集めて
覆されたものたち
が
草になる
古代ノ骨ガ咲イテイル
やがて…
草が産み落とした
「ツギハギの星」
が
何処にあるのか
遡るたびに
進化してゆく
そのおとこ
にだけは
聞いてはいけない
※
私はこの詩が全体で何を言おうととしているのかよくわかりません。この詩からはっきりとしたイメージをつかむこともできません。しかし、それにもかかわらず、私はこの詩に強く惹かれます。それはひと言で言うと、この詩がとても緊張をはらんでいるからです。それをピーンと張った緊張というよりいうより、ちょっと足を踏み外すと無限の闇のなかに墜落しそうだからです。
たとえば、初めの蓮は言葉がとても清潔な感じがして、その意味もイメージも私にはよくわかります。でも、ここを読むときあまりに慎重になったり、もたもたしていたりすると暗闇のなかに落ちてしまうのではないかと思います。この蓮は、文字の形や並べ方によってそういった緊迫感がよくでています。
次の蓮はこの詩で私がいちばん好きな部分です。
<魚たちが
燃え立つように 青く走り
ちりばめられた丘のうえ
荘厳な声が吹き抜ける>に惹かれます。
そして、この言葉についても前と同じように前と同じようにあまり考えすぎないように、もたもたしているとかえって大切なものを見失ってしまうような気がします。つまり、ここでも
私は緊張感をかんじます。それはやや大げさに言えば、生命(いのち)を賭けているようなような感じさえします。
さて、次の<古代ノ骨ガ咲イテイル>については私は停止した感じがします。つまり、私は
殆どわからないのです。でも、この言葉の前で停止してしまうというのは、面白い感じがします。それで、突然私はわかりました。私の前にあるのはガラスのケースに入った古代人の、たぶんエジプト人の骨ではないかと。そう思うと、さらに面白くなりました。
古代の栄華をきわめた人々の模様をつたえる展覧会があって、そこを訪れた詩人が感動して、とてつもない霊感を受けて、この詩を書いたかも知れない。
おしまいの「そのおとこ」についても、多少、想像を込めて言えば「神」であろうと思います。でも、エジプトに「神」はいたのだろうか……………。
いずれにしろ、この詩は私の心をとても自由にはばたかせてくれるのです。
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