ジェーン・ケンヨン「田舎の宿での暮方」矢口以文訳

田舎の宿での暮方  ジェーン・ケンヨン  
ここから赤い雲のひときれが
町役場の風向計に突き刺さっているのが見える
今 馬たちを走らせ跳びあがらせた
犬たちの姿はどこにもない。
あなたが今日笑ったのはただ一度だったー
チェホフの物語のなかで 猫が
キュウリを食べた という所でだつたーそして今
あなたはたばこをくゆらせながら
長い廊下をゆっくり下りてゆく。
コックが夕食のために肉を焼いている、
その煙が部屋という部屋に立ち込めている。
赤ら顔のスキーヤーたちが足をふみならして
あなたを追い越して行く。彼らの食欲はすさまじい。
あなたは事故のことを思い出しているのだー
彼の髪から銀色のガラスをつまみとったことを。
たった今 干し草を満載したトラックが
ガソリンのために村の店に止まった。
その干し草を見てほしいー
美しくて 健全で しっかり束ねられた干し草を。
Jane Kenyon(1947-1995)
Evening at a Country Inn
From here I see a single red cloud
impaled on the Town Hall Weathervane.
Now the horses are nowhere in the stalls,
and made them run and buck
in the brittle morning light.
You laughed only once all day―
when the cat ate cucumbers
in Chekhov’s story…and now you smoke
and pace the long hallway dowstairs.
The cook is roasting meat for the evening meal
and the smell rices to all the rooms.
Red-faced skiers stap past you
on their way in; their hunger is Homeric.
I know you are thinking of the accident―
of picking the silvered glass from his hair.
Just now a truck loaded with hay
stopped at the village store to get gas.
I wish you would look at the hay―
the beautiful sane and solid bales of hay.
あんまり一生懸命いきたので48歳でいってしまったので悲しい。
アメリカの女の詩人はどうしてこんなに緊張して早く死んでしまうのかわからない。
でも、英語でも読むと翻訳ではわからないものが伝わってくるようだ。

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