「世の中変わった」とよく言われるが、一体どこが変わったのかよくわからない。とにかく誰もが生きにくくなったという。若い人も年老いた人も誰ともわからず、そういうのを聞いてから、ずいぶん時間がたったように思える。こういう現象を詩に書くのは大変
難しいと思う。ところが最近、この作家の小説を読んで、私は度肝をぬかれてしまった。
ここ2ヶ月ばかりは、角田光代という1967
年生まれのこの若い小説家の本を夢中になって読み、そして圧倒されました。
どこがどうということができないのですが、やはりすばらしい。つまり、小説を
読んで、少しすると、「あっ、これ、わたしのことだわー」と思ってしまうの
です。そして、登場人物が困難な立場に追い詰められると、もう怖くで読んで
いられないような気持ちになるのです。つまり、この頃世の中変わったねと思うような生き方をしている人達が次々と出てきて、困難なめに遭うのです。
たとえば、商店街、ショッピングモール、新興宗教、主に東南アジアへの旅行、
結婚して子育てをしながら再就職すること、旅行から帰って来るとどうするか、
子どもの受験地獄、女が子どもを産むことと産まないこと、結婚することとしないこと、カードで借金することの地獄、高校のころから現在までどう生きてきたか?そういうことを次から次へ書いているので、何十冊も図書館から借りてきて読むことができます。そして、わたしはただただ感心して読みました。
つまり、この作家は大変現実的なのです。そして、少し退屈なくらいの世の中にいきている私たちを描くのです。ひどく平凡な人々がでてきて、少しも偉く
も魅力的でもないのです。でも、この偉くも魅力的でもない人々の物語を読み
終えると誰もが一生懸命生きていることに感動するのです。全くすごいですね。
でも、こういうことは詩に書きにくいのですが。
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