笠間由紀子「書きとどめて」  詩を好きになるための理由はない

書きとどめて   笠間由紀子
私が ここにいた と。
そんな物語を語ってください
書きとめてください
夕方の涼しい風の中を
歩いて
門から したたりおちる
白い花に見とれたり
古い歌を小さく くちずさみながら
思いがけず 道にまよったり
まがり角で
子供が しゃぼん玉とばしているのを
楽しくながめて
道にまようのも  時にはいいねと笑いあった
私が そこにいたと。
万年筆 鉛筆 ボールペン パソコン
それらのどの文字より
私たちは はかないから。

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