「エアリアル」シルヴィア・プラス皆見昭訳

Ariel
Stasis in darkness.
Then the substanceless blue
Pour of tor and distances.
God’s lioness,
How one we grow,
Pivot of heels and knees!–The furrow
Splits and passes, sister to
The brown arc
Of the neck I cannot catch,
Nigger-eye
Berries cast dark
Hooks—-
Black sweet blood mouthfuls,
Shadows.
Something else
Hauls me through air—-
Thighs, hair;
Flakes from my heels.
White
Godiva, I unpeel—-
Dead hands, dead stringencies.
And now I
Foam to wheat, a glitter of seas.
The child’s cry
Melts in the wall.
And I
Am the arrow,
The dew that flies,
Suicidal, at one with the drive
Into the red
Eye, the cauldron of morning.
天駈ける精(エアリアル)シルヴイア・プラス 皆見昭訳
暗黒(くらがり)の中の静止(とどまり)。
それから限りなく青い
岩の地平の彩りの噴き出し。
神の獅子は天駈ける、
わたしたちは一つになり、
かかとと膝は要だわ。裂けて
過ぎて行くわだち、逃げる
首の茶色の弧の
いとしい分身(かたわれ)。
暗黒のひとみの
木の実が暗いひずめを
投げ上げる。
黒くて甘い口一杯の血と、
影たち。
わたしを空中に
ほかの何かがほうり出す。
股も、髪も、みなすべて。
わたしのかかとから雪片を。
真綿のように白い
裸のゴタ゜イヴァさながらに、私ははぎ取る、
死せる手を、死せる厳しいこの世の規則を。
今や私は
麦の間に光る泡、海のきらめき。
子供の生ぶ声は
壁の中で溶ける。
そして私は
走る矢となり、
わが身を断つため
大気を割って飛び去る露になる、
煮え立つ大鍋、
真赤な朝の眼(まなこ)へと。
                   ※
 それでも、この詩はすばらしい、朗読する声もきれいに澄んでいる。
でも、若いときこの詩を読んだときは気がつかなかったけれど、この詩にも、死が打ち消しがたく
埋め込まれているのは、驚きだ。エアリアルはシェクスピアのテンペストなどに出てくる精霊で普段は
目に見えない透明な妖精。この詩の中ではプラスの馬の名前らしい。グウィネス・パルトローがシルヴィア・プラスになって映画に出ているらしいが見てみたい気がする。

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