駅に近づくにつれて

 駅に近づくにつれて、自動車や自転車が急に増えてきた。
 私は東京郊外のこの街に三十年住んでいるがここ数年のうちに、鉄とガラスで出来た高層マンションや
オフィスが侵入してきて、それまであった梅林や広大な農家が太い欅や美しい花を咲かせる桐と一緒に
消えていった。それとは対照的に道沿いに植えられていた桜や松は細い一本一本の木の枝まで注意深く手入れされている。
 ビデオ屋の通りを曲がると虫喰いのように穴が空いたアスファルト路に出た。その路を通ると、ああ、これは私の足のアレルギー皮膚炎と同じだと思っていたが、今日はきれいな路面になっていて驚く。
街は年々都会的になっていくのだが、あまりに人工的で嘘っぽいかんじがする。

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