近くのホールで、詩と音楽のシリーズという催しがあって、その第一回目を聴きにいった。
一回目はユーラシアの響き「モンゴル〜草原を渡る風」というテーマで、馬頭琴の演奏と歌と
詩の朗読をきくことができた。馬頭琴の調べは、まさに草原の風から生まれたような響きで、
緩急自在な美しいそのl響きをきいていると、自分が風に乗ってはるばると宙を浮遊している
気になった。都会のちまちまとした小さな扉や窓によって区切られた空間から生まれた音では
ないし、そんなところでは生き延びることもまれな音をきいたと思った。
演奏のチ・ボラグとチ・ブルグトとその仲間たちの、親愛感に溢れた舞台もすてきだった。
ふと作家町田純のネコのヤンのシリーズを思った。そのなかの「草原の祝祭」で、ネコのヤンが
幼い樅の木のてっぺんに銀の星を飾るシーンだ。
(まっ青な空の下、草原には心地よい風が吹いていて、ボクが一つ一つぶら下げていくと、ぶら
下げたばかりの星や球や鐘(ベル)がユラユラと揺れていった。
たちまち風は銀色になってまたどこかに走っていった。
するとまた別の風がゆっくり吹いてきて、今度は銀色の光を浴びて、ぐるぐるまわりを舞っていた。)
目路のはるかまで広がる草原のなかを風に吹かれながら歩いていきたい。どこかでネコのヤンと
カワカマスに会えそうな気がする。
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