昨日、汐留ミュージアムへ、ハンス・コパーの陶芸展を見にいってきた。この前テレビ
で見て、どうしても実物を一目見たかったので、酷暑の中を新橋まで見に行った。
彼の作品の、内側からおのずと膨らんでくる(たとえば植物の強い生命力みたい
に…)宇宙的な存在性に触れてしまうと、この目で、というより、この手で、肌で、身
体そのもので、私はその作品に触れたという(視覚でない)感触が残ってしまうのは不
思議だ。たとえば重たさとか、肌への抵抗感とか、そんな(土)の持つ特性が肌身に刻
まれてしまったように。(さっき私はあの壷を両手で支えた、あるいは撫でた…という
ように。) よく詩の場合、リアリティがあるというのと通じるかもしれない。
ルーシー・リーの洗練されたうつくしい作品、それ以上にコパーの作品の重たい存在
感に、しばらくは黙って打たれていよう。彼が最晩年になって病気になった頃、キクラ
デスフォームという、天に浮遊するような軽やかなかたちに、自身のいままで練り上げ
たオリジナルな技法を融合させ、自在なかたちの変容を生み出したことに胸を打たれ
る。
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