エストニアの作曲家アルヴォ・ペルトの「鏡の中の鏡」のCDをきく。
(ヴァイオリン)ギドン・クレーメル、(ピアノ)エレーナ・クレーメル。この曲をきくたびふしぎな宇宙に連れて行かれる。瞑想的になる。彼の演奏は静かで淡々としている。それなのにさまざまのイメージが目に浮かんでくる。ある人は暗い宇宙に星々が瞬きはじめ、それがまた一つずつ消えていく・・・、といっていた。わずか9分くらいの短い曲なのに、そのなかの異空間ははてしなく奥深い。
あるイメージ。水銀色の糸の上を一輪車にのって空へ遠ざかっていくひとりの天使。その後姿のなんと軽やかで、一人ぼっちなことか。雨が天使の羽根をしずかに規則的に打っている。
青い天使がいく
青い天使がいく
青い天使がいく
だれかあの青い影を見た?
夢の中で わたしは
青い天使の車輪の音をきく
夜を通り抜ける
青い天使の呼吸をきく
けれど 朝、天使は地上にいる
天使は草を摘んでいる
天使は荷を運んでいる
通り過ぎることなどなく
…いつか 千年もたったら
人々は思うだろうか
青い天使について
青い天使が通り抜けた
水銀色の日について
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