昨日、本棚を整理していたら、雑誌『アンサンブル』がたくさん見つかった。
かつて小山内彰子さんという方が編集者であった頃、よく私も寄稿させていただいた雑誌で、発行はカワイ音楽教育研究会である。懐かしく思って、ページをめくっていたら1992年10月号の巻頭に稲葉真弓さんの詩が載っていた。
かつて手元にこれが届いたときの、この詩から受けた深い印象を忘れていない。
あれからもう20年以上経ち、稲葉さんもすでに他界されているが…。
ミオの星から 稲葉真弓
なんども生まれかわる星がある
闇に光り 闇に消えて
ある日 秋の町にとどくのだ
あたりにはぼうぼうと
赤い夕日が燃えていて
その一点に
ミオの光はともるのだ
私は書こう あなたに
生まれ変わるための
長い年月について
そこにとどくときのよろこびと
消えるときのおののきについて
何億年も残るのは 私の体を包んだ
もう一つの金色の光であったことを
”””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””
ふしぎな詩だと思う。心が遠いところへ連れ去られていく。
最近彼女のエッセイ集『少し湿った場所』を読み、彼女の生きた
この世での時間と場所に、少しだが触れることができた。
この詩はいま稲葉真弓さんご自身にこそ、ささげたいと思う。