今日は神奈川新聞の花火大会だった。みなとみらいの空に盛大にひらく花火をベランダから
眺めた。花火には人の気持ちをわくわくさせるものがある。が、最後の花火が夜空に消えた瞬間の
寂しさも毎年変わらない。
前にも書いたけれど、ヘッセの『クヌルプ』の言葉がまたよみがえってくる。
(至高の美しさというものは、いつも、人がそれに触れたときに、歓びの感情のほかに、悲哀や
不安の念を抱かせるものだ)という。逆に言えば不安という裏打ちあってこそ、喜びも深く、強い
ということか。喜悦と不安、この二つの感情は引き離すことができない。ヘッセはこの美の
象徴として《花火》と《少女》という存在を挙げ、やがて消えゆく存在であるゆえに、それらの
美しさがひとの心をひきつけてやまないという。心とは不思議なものだと、花火を見るたびに
この言葉を思い出す。
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