シンシアとジョン

一昨日、久しぶりにシンシアとジョンに会った。 シンシアとジョン。二人はこの二月に結婚したとシンシアがいった。なにしろずっと恋人同士で自由に生きてきた二人が、今度やっと決心して14年ぶりに結婚に至ったのだ。そしてワシントン大学にいたシンシアが、日本に就職が決まったことと、結婚したことの二つの「おめでとう」のダブル乾杯をした。シンシアは日本美術史の准教授として、今度九州大学に赴任し、福岡に定年までいることになった。ジョンは焼き物や浮世絵が専門の人だが、今はもっぱらシンシアの内助の功もやっているようで、日々の食事は彼の担当だし、シンシアの研究のよき理解者だ。
今は九州にやってきて、ジョンは大好きな日本で、日本語を勉強し、玄米、野菜、魚を食べ、二人で身軽にあちこち旅をしているらしい。来年はシアトルやブータンへ、再来年にはシチリアへ一緒に行こうと誘われる。知っているアメリカの人たちはとにかく行動的でよく旅をする。実に気軽に動いている。
シンシアが私の夫(美術史が専門)と仕事の話に熱中している間、ジョンがもっぱらお酒を注いだり、サラダをみんなに取り分けたりしていて、シンシアはいい相棒を見つけたなあ…とつくづく思う。ジョンはイギリス出身で、穏やかで優しい人。世界のあちこちに故郷があるようなコスモポリタン的存在だ。二人がほんとに大人になって出会い、こんないい生き方を選んだことがすばらしく思える。シンシアはいつも知的好奇心にあふれている人で、その活力は会うたびに私によい刺激を与えてくれる。
その夜のお酒は〆張鶴(シメハリヅル)。これは新潟村上のおいしいお酒です。

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