第三回小野市詩歌文学賞の続きです。この賞はもともと小野市出身の上田三四二氏の例年の短歌フォーラム(今年で22回目)から生まれた賞で、その年の短歌、俳句、詩の、それぞれの分野の成果に対して与えられるものとのことです。
おかげさまで、私は思いがけず受賞の機会を得たのですが、会場では普段触れ合うことの少ない俳句や短歌の方々とも接する機会を得て、興味深く、愉しい経験を得ました。 詩を書く行為は常に孤独なものですが、このたびは受賞詩集に対する辻井喬氏からの講評をうかがい、ふいに外から差し込むまばゆい光を感じることができありがたく思いました。それは同時に詩を書くことの厳しさと、責任につながるものなのですが。
小野市は偶然亡き母の故郷でもあり、気持の底にずっと何か表現しがたい不思議さを感じていました。キツネやタヌキなどに化かされた曽祖父の話や、ホタルの乱舞する
沼や池の話などを子どもの頃、母からきいていたその地で、市長さんから新しい市政のあり方をうかがったりしていると、また別の不思議さを感じるのでした。
さて、ここではせっかくの詩歌文学賞の話なので、俳句、短歌部門の受賞の方のお作品を3つずつ挙げさせていただいて、報告の一部にさせていただければと思います。
小池 光 「山鳩集」より
山門を出で来し揚羽とすれちがひ入りゆく寺に夏はふかしも
夕暮れに雨戸を鎖(さ)すはいつまでもさびしき仕事その音きこゆ
古井戸に落ちたる象のこどもあり井戸をこはして引き上げられつ
八田木枯 「鏡騒」より
(はった・こがらし)
桜守おほまがどきをたかぶりぬ
七月や生きとし生けるものの数
金魚死に幾日か過ぎさらに過ぎ
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