夢は旅(羽生槇子)

今日は羽生槇子さんの詩集『人は微笑する』から一篇を載せたいと思います。
この詩集はわかりやすい表現の下に人々のもつ普遍的な郷愁のようなもの、宇宙的な想像力、他者へのやさししい思いが感じられ、この日頃の鬱屈したおもいを解放してくれました。
       夢は旅   
                           羽生槇子
  
夢は旅
どこかの集会に来たのでしょうか
それぞれ荷物をまとめ始めているから
集会は終わりでしょうか
荷物を片づけながら だれからともなく
自分の大切な人が亡くなる時の話を始めます
一人 また一人
わたしは 一人ずつの話を聞くたび泣いてしまいます
悲しいこと
  
そこで目がさめます
さめてから
夢の中で話していたいた人の中にわたしの知人が二人いて
しかも二人共 現実に大切な人を亡くした人で
でも その人の姿も表情も覚えているのに
話の内容を何も覚えていないことに気がつきます
夢の中でだけ伝わる言葉 というのがあるでしょうか
金色の日々は早く過ぎ
わたしは ふと 時の流れの音が
滝の流れの音のように激しく聞こえた と思います
     ”””””””””””””””””””””””””””””
なおこの詩集のなかにはさまれた絵が二枚あって、すてきでした。              

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