初雪の日に
佐藤真里子
北緯42度の
空は
冬に始まり
冬に終わる
めぐる四季の
輪の結び目に
いま
新しい
雪が降る
枯れた野原に
裸の樹々の枝先に
頬に
手のひらに
待ちわびていた
雪が降る
染まった色を脱ぎ
白うさぎになって
雪の野原を
飛びまわるわたしが
残す足跡さえも
すぐに消し去る
雪に包まれて
空の遠くから
呼んでいる
かすかな声に
長い耳を澄ます
””””””””””””””””””””””””””””””
青森にすむ佐藤真里子さんの「初雪の日に」は季節の自然の匂いが満ちている。
2連目の”めぐる四季の/輪の結び目に/いま/新しい/雪が降る”や、最後の連の”空の遠くから/呼んでいる/かすかな声に/長い耳を澄ます”という表現に独自の魅力を感じてしまう。風土のもたらす独自な感性や想像力があるとすれば詩人の表現がそのなかでどのように影響を受け、育っていくのか…と思う。
以前、三月か四月頃にジャワを訪れて、熱帯の花々に囲まれた日々を送った後、日本の我が家にもどってきて、まだ肌寒い庭で、やっと芽吹き始めた新緑に触れたときの胸のときめきが忘れられない。四季があるということへの感動。それは表現しがたい新鮮なものだった。いまは都会に住んで、自然に鈍感になって行く一方の自分がいる。
・s