うさぎ (うさぎ・兎・ウサギⅣ)

    うさぎ                       
                         高橋紀子 
  遠い昔に うさぎは逃げた
  月は
  虚空に登りつめて
  野を走り抜けるものを
  もしや と照らしつづける
    我を忘れ
    野を駆けつづける
    地を蹴って
    出来るだけ遠くへと
   
    走っても
    走っても
   
    追いすがる
    月の光に射抜かれて
    
    うさぎの目は
    赤く潤む
”””””””””””””””””””””””””””””””””””””
高橋紀子さんの詩集『埋火』から転載させていただいた。
月の野原を一心に駆けていく一匹のうさぎ。うさぎはどんな罪を負っているのか。
月の光にさえ追われるものの足音…その足音が聞き取れる耳をもっているだろうか?
わたしは…。   
                          

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