「月の魚」と英訳

先日紹介させていただいたEdwin A Cranston著「The Secret Island and The Enticing Flame」から、幾篇かの自作品と、Cranstonさんによる訳を載せていきたいと思います。
           月の魚                     水野るり子
   魚よ
   おまえは涙をながしているね
   アンダルシアの原野をゆく
   一頭のロバの背中に
   下弦の月がかかるとき…
   永遠のある一日からひきあげられ
   遠く運ばれていく魚よ
   おまえは乾いていく大地への
   一滴の供物なのか
       Moon Fish (translated by) Edwin A Cranston
    
     o fish,oh
     you shedding tears over
     Andalucia carried
     donkey-back up wild fields
     a waning moon
     drawn bowstring down
     up from one day in eternity
     far,far o fish,carried away:
     you are like one drop of offering
     for the drying earth
   魚よ
   おまえの魂はどこへいくの
   透き通った空の大きな壷のなかで
   月がだんだん欠けてゆき
   おまえが運ばれる土の器から
   海はひとしずくずつ蒸発していく
   すると 魚よ
   おまえの小さなからだは
   月のさみしいかたちに似て
   弓なりに空へはねる
     o fish, oh
     your soul-globe’s going
     in the great transparent
     bowl of sky the moon
     breaks piece by piece
     and the sea dries away
     drop by drop from the earthenware vessel
     where you’re carried, o
     fish,oh
     your little body
     copying the lonely shape of the moon,
     leaps bowlike toward the s
ky.
  魚よ 
  何万光年かなたの星にまで
  その水音はとどくだろう
  おまえはそのころ
  憶い出のように
  月のない空にかかって
  うしなわれたこの水の星を
  見下ろしているね
     <strong o fish, oh
that sound of water
stars will listen to
ten thound years from now:
Then you are
hanging in a moonless sky
like a memory
looking down on a lost
waterless planet.

これは1990年頃の作品です。詩集には入れていません。英訳されてから1,2箇所の小さな訂正をしました。
  
     
   
  
  
   
 
  


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