お台場のノマディック美術館で、グレゴリー・コルベールの《Ashes and Snow》を見てきた。人間と動物とが、同一平面上で、まるで夢の中でのように親密に触れあっているその映像は、どうしても現実とは思えないほど不思議だ。だが、このドキュメンタリーフィルムは、「どの作品もデジタル画像処理や合成、字幕などを加えずにコルベール自身がレンズを通して見たままを記録したものばかり」とのこと。
彼は15年の年月を費やして、インド、エジプト、ミャンマー,トンガ,スリランカ,ナミビア,ケニア,南極大陸,ボルネオ諸島などの世界各地に40回以上の遠征を行い…」、これらの人間と動物との交流を収めた映像を撮ったという。
その多くに水の場面が使われ、私は、人が胎児だったころの羊水の世界を想わざるを得なかった。(水中を泳ぐ象と人間のシーンのすばらしさ)。生命は水から生まれたものであることを、もう一度思い出した。三木成夫さんの「胎児の世界」を思った。
象やヒョウや鳥やオランウータンたちが、ヒトと触れ合うシーンの無限の静けさとやさしさこそ、ほんとうの生命的真実で、動物たちを差別する私たちの文化こそ、大きな錯誤のなかに置かれているのでは…と思ってしまう。
しかし私は、この作家がどうやってこのような映像を撮影できたのかをもっと知りたいと思った。1時間半ばかり超時間的空間をさまよって、まぶしい戸外へ出たら、そこはお台場。若い女性たちのあふれるこれもまた別の不思議空間だった。私たちの文化はこの先どこへ行きつくのだろうか。
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