上野の芸術大学大学美術館で「エルンスト・バルラハ展」を見る。バルラハ(1870〜1938)はドイツ表現主義の作家。彫刻の分野での表現主義は、日本に紹介されるのが非常に遅れていたとのこと。
最初雑誌のグラビアで見て、ぜひ行きたいと思い、「プラド展」を見た後でここを訪れたのだが、私にはむしろこちらの方がずっと印象的だった。芸術的感動を言葉にするのは難しいとあらためて思ってしまう。
バルラハは生涯を通じて「人間」を追求しつづけ、木彫、ブロンズ、版画、戯曲などを制作し、その力強くきっぱりと美しいフォルムには、生命の重さと内向する生の哀しみが一体化している。何回も会場へ引き返してゆっくりと見たいほどだった。だが時間がなかったので、後ろ髪を引かれながら、会場を後にしたのが心残りだ。
彼はナチから国家への非協力者として抑圧され、「頽廃芸術」の烙印を押されて、多くの作品が没収、廃棄され、失意のうちにその翌年死去したという。それがどんなに愚かな行為だったかを、これらの作品をみたあとで心底実感するばかり。なんて虚しい行為だろう。信じられない。
バルラハ展は5月28日まではこの会場で開かれています。
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