シンシア

                      シンシアとジョン 
しばらくぶりにこのブログを開ける。その間締め切りだの雑用だのに追われて、寒い冬の味をあじわう?ひまもなくて残念だった。
 一昨日、シアトルからシンシアと彼女のパートナーのジョン、それからジョンの娘のアリックスが来日。会食する。シンシアは前にも書いたが、ワシントン大学で日本の仏教美術を教えている。ジョンは現在は出版の仕事をしていて、本作りが大好きな人。浮世絵に造詣が深い。(私は浮世絵について、いろいろ教わることができたくらい)。アリックスは17歳だが、もう大学2年生。目下写真と陶芸に打ち込んでいる由。
シンシア自身は大学のtenureにうまく合格して、一生のキャリアを保証されたばかり。だからhappyそのものの表情。それにしても旅行中も、毎朝6時半から、ホテルのスターバックスで3時間はひとりで勉強や講義の支度をしているという、その精進振りには驚かされる。いつでも仕事を最優先にがんばって生きている彼女らしい。でももちろん昼間は3人仲良く見物にいそしんでいるらしい。昨日は歌舞伎座と三井記念館(陶磁器や書など)、浅草などをめぐり、今日は上野の博物館と、日本が初めてのアリックスのために竹下通りへ見物にいくとか。アリックスもこれから日本語を勉強したい由。
 この寒さのなかコートもなしでさっそうと?歩き回っている彼らを見て、「うう、寒い!」などと風に首を縮めている私は、これにもあきれるのみ。そういうと「マサチューセッツはこの寒さなんか問題じゃないほど…」と軽くいなされてしまうのだが。アリックスはマサチューセッツから飛んで来た。
 会食したのは、桜木町の「月の蔵」という和風レストランだった。彼らは陶器のお皿や酒器が気に入り、ためつすがめつ眺めて愉しんでいた。アリックスは高校から飛び級で、大学へ入ったのだが早く陶芸に打ち込みたくて、そのうち中退して日本へ修行に来たいともいっている。
 日本になれている私たちの目に入らない美しさが彼らには見えるのかもしれない。なにしろジョンときたら、浮世絵を通して?現代の日本のあちこちに、私たちの目には入らないような細部の美や気配を新しく発見しているのだ。私たちもときには旅人の目になれるといいのだが、日常の文脈の外へ出ることはほんとに困難だ。
 来年はぜひシアトルへと招いてくれるのだが、そのときがもしあれば、私はどんな旅人になれるだろうか…と思いながら、年末を京都で過ごす彼らに、日本でのよい年越しが待っているように祈っている。

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