秋の夕暮れはみじかいけれど、暮れかけたそんな街で何かに出会うこともある。今日は石川町駅からすぐのギャラリーで、詩と版画による「二人展」というのを見つけて、ふと立ち寄った。毎週いろんな個展が開かれているが、詩画展というのは少ない。特にこの二人展では詩と画の端正な調和が魅力的だった。音楽的な諧調をもつ短詩は山中孝子さん、あかるく透明な色彩の版画は工藤正枝さん。(山中さんは鎌倉での宮沢賢治の会にも出ておられるとか…。)帰るときに、96年の関内駅近くのギャラリーワーズでひらかれたという「二人展」の作品集をプレゼントされた。帰ってからページをめくると、やはりそこにも画と詩の響きあう澄んだ空間があって、一人の秋の夜の時間を満たしてくれる。お二人の気負いのない姿勢と、個展のすがすがしい雰囲気とに、思いがけない贈り物をもらった気がする。秋の一日、帰り道がくれた小さな幸せ…。
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