コンマスの調律でオーケストラの音合わせが始まって
天井からぶらさがっている大きなシャンデリアの照明がゆっくりと落ちていきました。
モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」から始まって
フジコ・ヘミングのピアノでモーツァルトのピアノ協奏曲を3楽章まで。
黒に鶴の刺繍の入ったアンティークの着物ドレスが印象的なフジコさん。
気分がのってきたのか予定外のべートーヴェンの「皇帝」の2楽章や
十八番のショパンの「エチュード」やリストの「カンパネラ」も弾いて
颯爽と舞台の袖へ消えていきました。
気になる指先は想像した通り、繊細で力強い音を鳴らしておりました。
でも今回、ものすごーく楽しかったのはオーケストラの演奏。
3階席からはそれぞれの楽器や演奏がすべて見えるので
(私の視力1.5なので3階でもほんとよく見えるのね)
音楽を聴くことだけじゃなくて演奏者や指揮者、使い込まれた楽器たち、
それから曲の間に椅子や楽譜台、ピアノを移動する人たちなど
くるくると人や楽器が入れ代わっていく。
舞台中心で踊るように指揮する指揮者、
ティンパニーや大太鼓、シンバル、タンバリンなどの打楽器担当のちょび髭3人衆、
猫背で大きなコントラバスに寄り添うよう弾くおじさん(坂上二郎似)、
ジョディ・フォスターそっくりのチェロ奏者(うつくひー)、
髪をぴったりとなでつけてカッコよくきめている男もいれば、
ぼさぼさの髪、よれよれドレスで演奏している女もいる。
いろんな人が集まって演奏していることに音楽と関係ないところで感動したり。あはは。
他にもこのオーケストラでぜひ見たい聴きたいと思っていた楽器バッソン、
日頃あまり聴いたことのないチャイコフスキーのバレエ組曲、
組曲の盛り上がりに合わせて上がった私のヴォルテージも
オーケストラが演奏人数によってこんなに音の厚みが変わることも
足の裏と耳と目で体験した「おおおーーー、すばらし!」の3時間。
音楽の終わり、「ブラボーーーー!」と叫んでいた人はどんな人だろう。
絶妙なタイミングで聞こえたその掛け声に心の中でうんうんと頷きながら
私も痛痒くなるくらいの拍手と共に初オーケストラの夜は幕を閉じましたのさ。
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