リリーさんの「東京タワー」。

本を読む前に装幀や挿画が誰なのか必ず見る。
「東京タワー」を読む前も見た。
中川雅也、中川弘治?誰だっけ?リリー・フランキーじゃないんだ。
そう思って読み終わる頃、この二人が誰なのかがわかってくると
この本の重みが増したような気がした。
本の内容は書かないでおこう。
書くと演歌っぽくなりそうだし、たぶん読む人によって感じ方はちがうはずだ。
ただ、この本に誰もが思い浮かべることがあるとすれば自分の親や家族のことをだろう。
今、前や上だけしか見たくない人、まだ振り返るには早すぎるーと感じている人は
読まないほうがいいかもしれません。(笑)
変色した「ブルータス」(1993)で見つけたリリーさんのイラスト。
たぶん、この頃だと思う。人間じゃなくなってしまいそうな極貧生活をしていた時代。
(詳しくは「東京タワー」をお読みください。)

M美大に通っていた時期が1年重なっていた。
玉川上水の同じ風景を見ていたんだ。
上水沿いはどの季節も美しく、木漏れ日の小道がずっと続いてた。
そんな個人的な記憶、懐かしい風景も通過しながら
「東京タワー」はいろーんな人が登場しておもろ切ない。
泣いたかと聞かれると息子からオカンへの直球ラブレターだもんね。(T_T)
ズシッとバシッとド真中あたりに投げ込まれます。
読み終わってみてどんな本だったかなーと浮かんでくるのは
澄み切った青空を見上げながら、何年も漬込まれて味のしみーた漬け物を
ぱりぱりっとかじるような感じとでもいいましょうか……。
「おでんくん」の泥臭ーい面白さもオカンへのレクイエムに見えてきた。(^_^;)
地上デジタルに移行していく中で
東京タワーは将来取り壊されるかもしれない。
そうなったら東京は色のない殺風景な景色になるかもね。
いつかそんな日がきたら東京から離れたところにいる私も寂しいと思う。
そうーいえば、東京タワーの中の怪しい空間「蝋人形館」は今もあるのかな。

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