観たい映画もないのでちょっとの時間があれば本ばかり。
運転中、信号待ちの時間でさえ読んでいることがある。
つい最近、「私の人生読書ベスト10」を選ぶなら
10冊の中の1冊にランクインされるかもしれない本を見つけてしまった。
本のタイトルは「博士の愛した数式」(小川洋子著)といいます。
どこがいいかと言われると難しい。
というかどこもここもいい。
使い込まれて磨きあげられてた床みたいに清々しいのに
夜になって匂いを増す花のような濃厚な感じもする。
80分しか記憶がもたない数学博士と
その家に派遣された家政婦と
家政婦の息子(ルート)の日常の話。
読み終わっていくのが残念でゆっくりゆっくり読んだ。
驚いたのは
日本語って美しいんだなーということ。
それと数学って面白いのかもーと思ったこと。
10年くらい前の夏、
仲良しの野郎どもと巨大な滝の近くでキャンプをした。
その中に学生時代から天才的に数学を得意とする人がいて
なぜ数学の話をしたのか話の前後は憶えていないが
「数学は美しいんだよ。」と言っていたことを思い出した。
いつも赤点ギリ、今、数学と聞いても
眉間に皺をよせてしまう典型的文系の私には
彼の話してくれる数式の説明は
堅苦しい世界ではなくとても近づきやすくて
まるで流れる音楽の話でもしているようだった。
「美しいのかー。ふーん。数学にそんな表現ってありー?」
飲んでボーッとした頭に妙に印象に残ったことだけ憶えている。
江夏豊、ちびた4Bの鉛筆、
かさこそという紙の音、野球カード、友愛数、完全数、28、
この本には他にも両手で包みたくなるような言葉がたくさん詰まっている。
図書館から借りた本を返して文庫本を買い、また読みはじめました。
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